不妊外来の手引き

当クリニックでは、御結婚されてからなかなか妊娠に至らない方や、次のお子様ができにくい方を対象に、不妊症の検査を行っています。まずはご夫婦の悩みや疑問を聞くことから始めます。その後、検査・治療について十分理解してもらった上で納得できる治療を行っています。当クリニックで行っています検査についてご説明致します。
1. 基礎体温(BBT)
婦人体温計で毎日の基礎体温を記入して頂きます。排卵の有無やホルモンの分泌状態の目安となります。(但し,毎日決まった時間に測る必要はありませんが、最低3時間の安静後に測って下さい。)
2. 子宮卵管造影検査(HSG)
月経終了後、排卵前に行います。レントゲン透視下に、子宮の入り口から子宮内へ造影剤を注入して、子宮の形態異常や卵管の通過性を調べます。また、翌日に、骨盤のレントゲン撮影により腹腔内の造影剤の広がり状態を調べ、卵管周囲癒着の有無を調べます。これは、子宮の形態異常や卵管の通過性を調べるだけでなく、子宮卵管造影検査の後は、妊娠率も高くなることより、治療的意味も兼ねています。

3. 超音波検査(UST)
卵胞発育や子宮内膜の厚さを調べます。卵胞の大きさが18mm以上であれば一両日中に排卵が起きますので、そのタイミングをみて夫婦関係をもつようにしてもらいます。
4. 頚管粘液検査(CM test)
排卵の頃は、子宮の入り口(頚管)の粘液が増え、精子が子宮中に入っていき易くなります。その量と牽引性(伸び具合い)を調べます。
5. 性交後試験(フーナーテスト,PCT)
卵胞の大きさや頚管粘液の状態から排卵日が予想されると、その日に合わせて行います。検査当日の朝、あるいは前日の夜、夫婦関係をもっていただき頚管粘液とご主人様の精子との相性度を調べます。この検査で御主人の精子の状態もおおむね推測されます。なお、この検査を行う前は、4〜5日間の禁欲を守って下さい。
6. 精液検査
最近は男性因子が原因であることが増加しています。前項のフーナーテストの結果が悪い場合、ご主人様の精液自体を直接検査する必要があります。精液量、全精子数、運動率,奇形率、および妊孕係数を調べます。なお、この検査を行う前は、前項と同様に、4〜5日間の禁欲を守って下さい。
7. ホルモン検査
1) LH-RH+TRHテスト
月経開始後2〜3日目に行います。視床下部から分泌されるLH-RH、TRHを注射して、下垂体から分泌されるLH、FSH、プロラクチンの反応性を調べます。
2) テストステロン,デヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEAS)
男性ホルモンの一種ですが、女性ホルモンと相反し、卵胞発育
へも悪影響を及ぼします。これは、月経周期と関係しませんので適時調べます。
3) 甲状腺刺激ホルモン
甲状腺疾患は女性に多い病気です。甲状腺疾患があると、卵胞発育に悪影響を及ぼしたり、妊娠して も流産し易くなります。これは、月経周期と関係しませんので適時調べます.
4) エストロゲン,プロゲステロン
排卵後7日目に行います。これは、受精着床に大切な黄体機能を調べます。また、超音波検査で子宮 内膜の厚さも調べます。また、エストロゲンは卵胞発育のもとになりますので、月経中も基礎値として調べます。
不育症について
1. 不育症ってなに?
不育症とは、妊娠には至るけど流産に終わってしまう事を総称します。流産は全妊娠の12-15%に見られますが、2回以上流産を繰り返しますと3回目も流産に至る確立が25-30%と高くなります。2回以上流産を繰り返す場合を反復流産、3回以上流産を繰り返す場合を習慣流産といって、その原因検索およびその対策が必要と思われます。
2. 原因にはどのようなものがあるのですか?
原因は大きくわけるとホルモン系の異常と免疫系の異常とに分けられます。
ホルモン系の異常があれば、卵の質が低下したり、受精後に着床が維持できなくなります。
免疫系の異常には、次のようなものがあります。赤ちゃんがお腹の中で育っていくためには、お母さんが赤ちゃんを自分の身体の一部(自己)と認識しなければいけません。しかし、赤ちゃんがお腹の中に宿ると、身体が自分の身体の一部と認識せず(非自己)、赤ちゃんをやっつけようと働き流産を起こします。また、赤ちゃんはお母さんから血液を介して栄養をもらっています。しかし、お母さんがその血液が流れている血管に血の塊(血栓)を作りやすい体質であれば、血液の流れを塞ぎ、その結果赤ちゃんへ栄養がいかず育たなくなります。また、頻度的には少ないのですが、御夫婦間の染色体異常があれば、赤ちゃんへも引き継がれます。しかし、染色体異常が見つかった場合、治療方法はありませんが、次回妊娠がどれくらいの確率でうまくいくかの指標になります。その他、子宮のお部屋が狭かったり、2つに分かれていたりした場合などは流産の原因になります。
3. 検査にかかる時間は?
原則的に検査期間は月経周期に準じて検査を行いますので、月経1周期、つまり約1ヵ月間で終わります。その間、3〜5回の来院回数で結構です。
4. 治療方法は?
原因によって治療法がそれぞれ異なります。ホルモン関係の異常であれば、飲み薬や注射を用いた卵の質の改善を行います。また、免疫系の異常が見つかれば、飲み薬(アスピリンなど)を用いて治療を行います。また、治療が終了するまで避妊をして頂きます。
5. 治療成績は?
一般に不育症患者さんが次回妊娠で元気な赤ちゃんを得る確率は70-80%です。
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